イタリア、バー経営者の釈放に抗議 クラン・モンタナ火災
多数の死傷者を出したスイス南部ヴァレー州クラン・モンタナの火災をめぐり、州裁判所が現場となったバー「ル・コンステラシオン」の経営者を釈放すると決定したことに対し、イタリアで不満が募っている。同国政府は駐スイス大使を召還し、スイス側に共同調査を求めている。
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ヴァレー州裁判所は22日、バーのオーナー、ジャック・モレッティ氏を20万スイスフラン(約4千万円)の保釈金で釈放することを決定した。これを受け、イタリア発の憤りの波がスイス全土に広がった。それは政治的な動きにも発展し、イタリア政府は23日、協議のため駐スイス大使をローマに召還したと発表した。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、裁判所の決定に「深い憤り」を表明したうえ、事件の捜査においてスイスとイタリアの協力を改めて求めた。クラン・モンタナの火災では40人が死亡、116人が負傷。死傷者の中にはイタリア国籍者も多数いた。
メローニ氏はイタリア紙コリエーレ・デラ・セラの24日付のインタビューで「今回の出来事ことを受けて、合同捜査チームが直ちに、これ以上の抵抗なく結成されることを求める。イタリア警察のノウハウとプロ意識を活用する」と主張した。
メローニ氏はイタリアが事件発生当初から真相解明のためにスイス当局に協力することを申し出ていたと明かした。「この申し出がこれまで受け入れられなかったことを遺憾に思う」
イタリアは火災事故後、独自の捜査を開始し、必要があれば民事訴訟を起こす意向を示している。ヴァレー州検察が22日発表した声明によると、これまでに約130の個人・市民団体が原告として名乗り出ている。
保護する原則
イタリアでは週末にかけ、自国スキー選手らに対し、2月1日にクラン・モンタナで開催されるアルペンスキーワールドカップ(W杯)ダウンヒルのボイコットを求める声が上がった。
これについて、スイスはイタリアをなだめようとしている。スイスのロベルト・バルザレッティ駐ローマ大使は、イタリア紙ラ・スタンパの25日付インタビューで、スイス刑法には「被告人は自由の身が保たれる」という基本原則があると説明した。勾留を決定するのは警察でも検察でもなく裁判官であり、「これは私たち全員を守る民主主義と法の支配の原則であり、私は変えたいとは思わない」と述べた。
スイスのギー・パルムラン大統領は24日、グラールス州ネーフェルスで開催された国民党代表者会議の傍ら、ドイツ語スイス公共放送(SRF)とのインタビューで、イタリアの見解に理解を示しつつ、「イタリアはスイスの行動をイタリア法の観点から見ていると思う」と述べた。三権分立を尊重するべきとも強調した。
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イグナツィオ・カシス外相は24日、イタリアのアントニオ・タヤーニ外相と電話会談し、火災に対する両国の「相互支援」を強調した。
イタリアの動きは異例ではない
スイス外務省はスイス通信社Keystone-SDAの取材に対し、イタリア政府による駐ローマ大使の召還は標準的な外交慣行であり、「異例ではない」と述べた。
外務省広報は「これは解任ではない。解任はスイスにイタリア大使がいなくなることを意味する」と述べた。イタリア大使はローマでの協議後、スイスに戻り、職務を継続する予定だ。
英語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子
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